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寅壱 | Toraichi Concept

The Recommendation from 寅壱 #5 “小松雄二郎(blackmeans)”

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2012年前後よりコラボレーションなどを通じて、寅壱と深い関係にある日本屈指のレザーブランド、「blackmeans(ブラックミーンズ)」。
パンクカルチャーをベースにしながら、様々なクロスカルチャーを体現するプロダクトからは、何かしらの日本らしさを感じとることができる。

今回は寅壱と長年の交流がある、blackmeans オーナーであり、デザイナーでもある小松雄二郎氏をご紹介したい。

寅壱 | Toraichi Concept

インタビュワー(以下 Q):寅壱との関わりはいつごろからでしょうか?

小松雄二郎氏(以下 K):初めてコラボさせてもらったのは2013年ごろだったと思います。もちろん寅壱のことはずっと前から作業着とのメーカーだとは知っていました。鳶装束が自分の中ではインパクトがあって。僕の中でこれはファッションとか洋服のトレンドとかとは全く別次元の存在感がありましたね。
で、その2013年の1年前の2012年なんですけど、経済産業省の企画で「LEATHER JAPAN 2013」という海外(NY)でのエキシビジョンの機会を伊藤忠さん経由でもらい2012年から準備に入りまして。

Q :「LEATHER JAPAN 2013」がきっかけだったということなんですね。

K :ええ。そこでは日本の文化としてのレザーを海外に向けて発信するイベントだったので、日本の文化のものを入れてこそ初めて、これは「日本の革の服だ」って言えるなって思い。
それまで「ジップパンツ」っていう「パンク」カルチャー(パンク自体はイギリス発祥)のアイテムを日本国内で作っていたんですが、ジップパンツを自分たちなりにアレンジしていくなかでこれがイギリス発祥のパンツでそれをそのまま作っても自分たちはオリジナル以上のものを作れる自信はありました。
でも、それだけだとなんかそれは模倣に過ぎないって思っていて…。

Q :確かにそれだけだと「日本」的な要素はあまりないですよね。

K :海外(イギリス)からのカルチャーのものを日本で作ってる僕は、ものすごく海外の影響を受けているのに、違和感を感じちゃって。
「そのまんまのもの作ってどうするんだ?ちゃんと日本のアイデンテティみたいなものがあってこそ自分たちのオリジナリティじゃないか?」なんて。まぁ…今思うとそんな考えは昔からあったのかな?って。
で、この自分が作ったパンツが寅壱さんのシルエットになったらすごいかっこいいし、それでいて出来上がったものは「和」としてのオリジナリティがあるなって思ったんです。

引用元:http://laboratory.paris-tx.com/2013/11/25/

Q :出来上がったパンツは他では見ない唯一無二のかっこよさがありましたよね。

K :結果的に、LEATHER JAPAN 2013ではジップパンツと寅壱の鳶装束のシルエットを掛け合わせたものを展示品として出しました。他にも、前掛けだったり「和」なものをいくつかやらさせてもらいました。
このプロダクトきっかけで2013年以降にもコラボ商品としてやらさせてもらいました。企画段階から数えると、もう8年前になるんですよね。

Q :他にもリリースはあったのですか?

K :2014年には鴉天狗マウンテニアリングというタイトルだったり、2015年にも女性向けのコレクションでこんなものをやりましたね。ちょっとやりすぎたかもしれませんがw

寅壱の担当の方からも、「継続的にできれば。」という話もあったんで結果的に2013年〜2015年の間やりましたね。

Q :小松さんは、和=日本としての表現の方法の一つで寅壱をお考えになっていると思います。blackmeansにおいて洋服と和装との融合というのはもはや必然ですよね。

K :そうなんですよね。
でも一般的な「和」の要素の取り入れ方と、自分とは違う気がしています。
自分はレザーが好きでファッションの業界にはいったのだけど、「本場イタリアのレザー」という売り文句は、日本人が国内で発信すると言う場合は、結構違和感があって。
なぜなら、歴史的背景にしても特に封建制度の時代あたりは革職人には大変な時代だったと思うんですね。そうした膨大な歴史的背景を無視されているのは残念で。

寅壱 | Toraichi Concept

あとやはり日本人のアイデンティティって、海外由来のものを吸収して、オリジナルを超えるものを作ってきた歴史もあると思うんです。
例えば、戦国時代の鉄砲伝来のくだりなんてまさにそうじゃないですか。最初の数丁を高値で買ってくれてしめしめと思ったら、またきたらもう高いレベルでコピーを作ってるなんて。
そこには作りの良さだったりっていうのも含めてなんですけど、ちょっとした日本らしさを入れ込んだりしていったのが今までの日本の伝統だったりすると思っています。blackmeansってある意味それを平然とやってのけてるところもありますね。実は。

これからも「ファッション」として、海外の文化を日本発信で出していく中で、僕ら(blackmeans)がやるんであれば、こうしたマインドを持って新たなものを作っていかなきゃダメなんじゃないかなって思ってます。

Q :今までも、(あるとすれば)これからも、寅壱とのコラボはどういうところがポイントになっていますか?

K :日本の要素ってなにかって考えると、作業着なんて一番大事なところだと思うんです。
特別な時以外でも普段で道具として使われ、きちんと現実で人が着ていてることで初めて服として「和」の要素が生かされているとかが証明されるじゃないですか。

Q :実用性が大事と言うところでしょうか?

K :使われ続けていると言う事実が大事ってことです。
着物とかの和服をアレンジすることも可能なんですが、僕の考える「和」の要素は、道具として使われ続けられていることが重要なので、何十年も日本の職人さんたちに使われ続けられていて、それを証明しているのが今の日本の中では、僕的には寅壱さんなんですよね。

Q :面白いですね。シルエットだったり、歴史だったりを考えるケースは多いと思いますが、証明されている事実にフォーカスする視点というのは初めて聞くかもしれません。

K :その唯一無二の寅壱さんとプロダクトを作ったら堂々と人に見せられるなと思ってるんです。正直ワクワクするし楽しいですよ。

Q :話は変わるのですが、実際にプロダクトに和装の要素を壊さずに、シルエットを落とし込むのは、実際様々な課題があると思います。

K :そうですね。その部分で言うと和装は真っ直ぐな布を体の大きさに合わせたうえで、田植えの動きに合わせて作ってたり、布を纏うみたいなニュアンスが強いですよね。
洋服はフォーマルになればなるほど拘束具に近いニュアンスになりますよね。

Q :寅壱のプロダクトでも鳶シャツや、鯉口シャツなど、パターンとして、特に肩周りだったりが洋服でなく和装のシルエットになっていますが、ここら辺を、カジュアルに落とし込むあたりに気を使うポイントってどういうところなのでしょうか?

K :プロダクトそのものの方向性っていうより、生活様式、例えば1日の中で腕が上がっている状態が多いのか、下がっている状態が多いのかでアームホールの位置だったり取り方が変わってくると思います。
ライダースなんかは手が前に行くわけですから、そういう作りをしていますし、例えば普通に現代人の生活の中で和装である鯉口シャツだったりを浸透させるなら、肩周りは洋服寄りにした方がいいですよね。

ちょっと話が逸れちゃいますが昔の日本軍の軍服(和装)だったり、ドイツ軍服(洋服)のパンツは鳶装束だったり乗馬スボンに近いじゃないですか。現代の軍服でああいうシルエットは無いですが、鳶装束的なシルエットが現場で残っているのは何か理由があるはずなのでフォーカスしていきたいですね。

用途に合わせて、和装か洋服寄りかは、考えた方がいいと思うので必ず洋服に合わせた方がいいという考え方ではないですね。
もっとも、今の生活様式だとシャツ類や上着類は圧倒的に洋服寄りになるとは思いますが。

Q :この考えは今後の寅壱とのコラボレーションにも反映されていくってことですよね。

K :そうですね。自分で言うのもなんなんですけど、和装的なものも、ファッションカジュアルの両方を寅壱さんとの今までのコラボでやってるんですが、自分としては結構ギリギリの範囲で面白いことやってるなーって思うんですよ。

Q :blackmeansは、パンクカルチャーをベースに独特の世界観を作り上げていますが、どこかにちょっとした「笑」が隠し味程度に入ってる印象は受けます。

K :クールさの中のちょっとした「笑」だったりの塩梅は難しいんですけど、結果的にはちゃんと「笑」に負けずに、きちんとかっこよさだったり、クールさは残している的な。と言うか、性格的にもあんまりクールすぎても、シリアスになるのも苦手で…。

Q :それは面白いですね。確かにアトリエにあるアーカイブスは基本的にかっこいいんですが、ユニークなものが多いですよね。

K :ありがとうございます。実は、近いうちに寅壱さんとのある程度の期間を組んだコラボレーションをやります。その中にも「和」だったり「笑」だったりはテーマにしているので是非楽しみにしていてください。

Q :長い時間ありがとうございました。新しい企画、楽しみにしています。